AIで声を再現できるアプリは、大きく分けると「自分や許可を得た人の声をもとにカスタム音声を作るもの」と「公式に用意されたキャラクター音声やAI音声で読み上げるもの」があります。歌声を作るツールもありますが、話し声の再現とは仕組みも使い方も別です。

この記事では、自分の声をAI化したい、推し・アニメキャラ風の声で読み上げたい、無料で試したいといった目的ごとに、6つのアプリ・サービスを比較します。

他人、有名人、声優、配信者などの声を本人や権利者の許可なく再現し、公開・販売する使い方は避けましょう。本記事では、自分の声、利用許可を得た音声、またはサービスが正式に提供している音声ライブラリを使う前提で紹介します。

自分の声やキャラクター風ボイスを作れるAI音声アプリのイメージ

目的別に選ぶならこの6タイプ

自分の声を再現して長文やオーディオブックに使うならBookFab、ブラウザで自分の声を作るならCoeFont、多言語のナレーションや音声クローンならPlayHT、公式キャラクター音声ならA.I.VOICE2またはVOICEVOX、歌声ならVoiSonaが候補です。推し風の声を使いたい場合は、無断クローンではなく正規提供された音声や一般的な声質から選ぶのが安全です。

やりたいこと向いているツール選ぶ理由注意点
自分の声に近い音声を作って保存したいBookFab / CoeFont録音からカスタム音声を作成できる本人または利用許可を得た音声を使う
推し・アニメキャラ風の声で読み上げたいVOICEVOX / A.I.VOICE2公式に提供されたキャラクター音声を選べる音声・キャラクターごとの利用条件がある
ブラウザで多言語ボイスを作りたいPlayHT / CoeFontWeb上で音声生成を進めやすい無料枠と保存・商用条件はプランで異なる
無料でキャラクター音声を使いたいVOICEVOXソフト本体を無料で利用できるVOICEVOXのクレジットと各音声ライブラリの規約に従う
AIで歌声を作りたいVoiSona歌詞・音程・ピッチ・ビブラートを編集できる話し声の再現とは用途が異なる
長文や複数のカスタム音声を管理したいBookFab音声プロファイルを読み上げ・オーディオブック制作に連携できるWindows 11/10(64bit)とインターネット接続が必要

AIで声を再現するアプリは「声の作り方」が違う

「AIで声を作る」といっても、同じ機能ではありません。自分や許可済み話者の録音から声を作る音声クローン、サービスが用意した声を選ぶキャラクター音声・AI音声、歌詞と音程から作る歌声合成では、必要な素材も権利条件も変わります。

本人の声をAI化する場合は、必要な録音時間、音声モデルの保存数、生成した音声をどこまで使えるかを見ます。複数の音声クローン製品を比べる場合も、無料枠だけでなく録音条件と公開範囲の違いが重要です。

無料範囲:文字数だけでなく、作成できる音声数、保存、商用利用まで見る。
日本語:固有名詞、アクセント、語尾を同じ短文で聞き比べる。
公開条件:サービス本体と音声ライブラリ、キャラクターの条件を分けて見る。
権利:自分の声か、利用許可を得た音声だけを学習素材に使う。
選び方

声再現系アプリ・サイト6選を比較

ツール主な用途利用環境無料利用公開・商用のポイント
BookFab AudioBook クラウドエンハンサー自分・許可済み音声の再現、長文、オーディオブックWindows 11/10(64bit)音声クローン3件まで利用権のある音声を使用。生成音声はBookFab内の読み上げ・オーディオブック制作に連携
CoeFontWeb録音からのカスタム音声、日本語TTSWeb800文字/月・1プロジェクト、非商用商用利用はStandard / Plus / Enterprise
PlayHT多言語TTS、音声クローン、ナレーションWeb無料アカウントあり保存形式や利用量は契約プランの範囲に従う
A.I.VOICE2日本語キャラクター音声、動画ナレーションWindows / macOS(対応機種は製品別)無料体験版あり個人動画と商用案件ではライセンス区分が異なる。キャラクター規約も適用
VOICEVOX無料のキャラクター読み上げ・歌声合成Windows / macOS / Linux無料商用・非商用で利用可能。VOICEVOXのクレジットと各音声ライブラリの規約が必要
VoiSonaAI歌声制作Windows / macOS / iOS / iPadOS基本ソフトは無料ボイスライブラリごとのガイドラインが適用される

1. BookFab AudioBook クラウドエンハンサー:自分の声を長文制作へつなげたい人向け

BookFab AudioBook クラウドエンハンサーの製品画像
BookFab AudioBook クラウドエンハンサー
  • 3〜5分の録音または音声ファイルからカスタムAI音声を作成
  • 無料トライアルは3件、プレミアム版は最大30件の音声プロファイルを管理
  • 作成した音声をテキスト読み上げやオーディオブック制作で利用
  • Windows 11 / 10(64bit)向け、インターネット接続が必要

BookFabは、音声を一度作って終わりではなく、複数のカスタム音声を管理しながら長文の読み上げやオーディオブック制作に使いたい人向けです。短いSNS用ボイスをスマホだけで作る用途なら、Webやモバイル対応サービスのほうが手軽です。

BookFabでカスタム音声を作る手順

Step1 録音または音声ファイルから作成方法を選ぶ

BookFabを起動し、「私の音声」で新しい音声を作ります。自分で録音するか、利用権のある音声ファイルをアップロードします。

BookFabの私の音声で録音または音声ファイルを選ぶ画面

Step2 作成された音声プロファイルを整理する

処理が終わったら音声プロファイルを開き、アバター、性別、タグなどを設定します。複数の音声を使う場合は、用途が分かる名前やタグにしておくと管理しやすくなります。

BookFabでカスタム音声のアバターやタグを設定する画面

Step3 読み上げやオーディオブック制作で使う

作成した音声を出力音声として選び、「テキストから音声へ」または「オーディオブック 作成」で利用します。録音素材には、できるだけノイズやBGMの入っていない音声を使います。

BookFabで作成したカスタム音声を読み上げに適用する画面

2. CoeFont:ブラウザで自分の声を作りたい人向け

CoeFontのブラウザ音声作成画面

CoeFontは、ブラウザの録音からカスタムAI音声を作れる日本語向けサービスです。FreeプランでもWeb録音によるカスタム音声作成を試せ、TTSは月800文字・1プロジェクトまで使えます。

Freeプランは非商用向けです。収益化動画、広告、販売コンテンツなどで生成音声を使う場合はStandard、Plus、Enterpriseの対象プランが必要です。既存の動画・音声からカスタム音声を作る機能はEnterprise向けなので、無料で始める場合はWeb録音から試す形になります。

3. PlayHT:多言語ナレーションや音声クローンをWebで作りたい人向け

PlayHTの多言語AI音声作成画面

PlayHTは、Webで多言語TTSと音声クローンを扱えるサービスです。30以上の言語、音声クローン、WAVなどの音声出力に対応しています。

日本語だけを細かく調整する専用ソフトというより、複数言語のナレーションや吹き替えを一つの環境で扱いたい人に向きます。無料アカウントから試せますが、生成量や利用できる機能は契約内容で変わります。

4. A.I.VOICE2:公式キャラクター音声で日本語ナレーションを作りたい人向け

A.I.VOICE2で日本語キャラクター音声を作る画面

A.I.VOICE2は、入力した文章を公式キャラクターの音声で読み上げ、音声ファイルとして保存できるソフトです。Windowsに加え、対応製品ではAppleシリコン搭載Macでも利用できます。自分の声を学習して複製する製品ではありません。

個人のYouTube動画など一定範囲ではそのまま利用できるケースがありますが、スポンサー案件、販売作品、法人利用などはライセンス区分が変わります。さらにキャラクターごとのガイドラインもあるため、公開方法に応じて必要なライセンスやキャラクター規約を適用します。

5. VOICEVOX:無料でキャラクター音声を使いたい人向け

VOICEVOXでキャラクター音声を読み上げる画面

VOICEVOXは、無料で使える日本語のテキスト読み上げ・歌声合成ソフトです。商用・非商用を問わず利用できますが、生成音声を使うときはVOICEVOXを利用したことが分かるクレジット表記が必要です。あわせて、選んだ音声ライブラリやキャラクターの規約も適用されます。

本人の声をクローンする製品ではなく、公式に提供されたキャラクター音声を使うタイプです。「推しの声で読み上げたい」という目的でも、無断で特定人物の声をコピーするのではなく、正規提供されたキャラクター音声を使いたい人に合います。詳しい操作はVOICEVOXの使い方で紹介しています。

6. VoiSona:話し声ではなくAI歌声を作りたい人向け

VoiSonaは、歌詞と音程から歌声を作り、ピッチ、ビブラート、声質などを調整できるAI歌唱ソフトです。基本ソフトは無料で、Windows、macOS、iOS、iPadOSに対応しています。PC版はVSTiやAudio Unitsを使ってDAWとも連携できます。

VoiSonaでピッチやビブラートを調整して歌声を作るイメージ

VoiSonaは歌声制作には向きますが、本人の話し声をそっくり再現するためのツールではありません。追加ボイスライブラリにはそれぞれガイドラインがあるため、公開や商用利用では使用する音源の条件が基準になります。

推し・アニメキャラ風の声で読み上げたい場合

推し・アニメキャラ風の声で文章を読ませたいなら、まずVOICEVOXやA.I.VOICE2のように公式キャラクター音声を提供しているソフトを選ぶのが分かりやすい方法です。特定の声優・配信者・キャラクター本人の声を無断でクローンするのではなく、正規ライブラリか一般的な声質を使います。

作りたい声選び方
公式キャラクターの声VOICEVOX、A.I.VOICE2など正規提供された音声を利用する
アニメ風・ゲーム風の雰囲気「明るい」「低め」「少年風」など人物名ではなく声質で選ぶ
自分の推し本人に似せた声本人または権利者の許可がない音声クローンは避ける

無料で試すときは「無料の範囲」まで比べる

「無料」と書かれていても、使える機能は同じではありません。無料枠だけで本番まで進めたいのか、声質を試してから有料版へ移るのかで選択が変わります。

ツール無料で試せる範囲無料利用で特に見る点
BookFab音声クローン3件まで4件以上の音声プロファイルを管理するならプレミアム版
CoeFont800文字/月・1プロジェクトFreeプランは非商用
PlayHT無料アカウントあり生成量、クローン、出力などの上限はプランで変わる
A.I.VOICE2無料体験版あり製品とキャラクター、公開方法で利用条件が異なる
VOICEVOX無料クレジット表記と音声ライブラリ・キャラクター規約が必要
VoiSona基本ソフトは無料追加ボイスライブラリの価格・利用条件は音源ごとに異なる

声を再現する必要がなく、文章を日本語音声に変換することだけが目的なら、無料の読み上げソフト比較でTTSに絞って選べます。

商用利用・著作権で気をつけること

AI音声を公開するときは、サービスの利用条件だけでなく、使う音声ライブラリやキャラクター、元になった話者の権利も別に考えます。自分に利用権がない声を学習素材として使わないことが基本です。

  • 自分や許可済み話者の音声クローンは、許可された範囲で利用する
  • VOICEVOXやA.I.VOICE2などのキャラクター音声は、ソフト本体とキャラクター双方の条件に従う
  • YouTube収益化、広告、スポンサー案件、販売作品、法人利用は同じ扱いとは限らない
  • 生成した音声そのものを素材として再販売できないサービスもある
「無料で作れる」と「公開・収益化できる」は別の条件です。本番で使う前に、予定している公開方法まで含めて利用範囲を合わせてください。

よくある質問

Q

無料で使えるAI声再現アプリはありますか?

あります。BookFabは音声クローンを3件まで試せ、CoeFontはFreeプランでWeb録音によるカスタム音声を作成できます。VOICEVOXはキャラクター音声を無料で利用できますが、本人の声をクローンする機能ではありません。

A

Q

推しの声で読み上げるアプリはありますか?

公式キャラクター音声ならVOICEVOXやA.I.VOICE2が候補です。特定の声優、配信者、キャラクター本人の声を無断で複製するのではなく、正規提供された音声や利用許可のある素材を使ってください。

A

Q

自分の声をAIで再現するには何分くらい録音が必要ですか?

必要な長さはサービスによって異なります。BookFab AudioBook クラウドエンハンサーは3〜5分の録音または音声ファイルからカスタム音声を作成します。録音条件や素材の準備まで知りたい場合は、自分の声をAIで再現する方法で詳しく整理しています。

A

Q

AIで作った声をYouTubeの収益化動画や広告に使えますか?

サービスと音声によって条件が違います。VOICEVOXはクレジット表記と各音声ライブラリの規約に従えば商用・非商用で利用できます。CoeFontのFreeプランは非商用で、A.I.VOICE2は利用方法によって個人商用・法人ライセンスが必要になる場合があります。

A

Q

スマホだけでAI音声を作れますか?

スマホ対応のWebサービスやアプリなら可能です。VoiSonaはiPhone・iPadにも対応しています。一方、BookFabはWindows向けなので、音声クローンを作って長文やオーディオブックに使う場合はPCが必要です。

A

AI音声クローンツール比較記事のイメージ
AI音声クローンツールを詳しく比較したい方へ
音声クローン自体の精度、録音方法、無料範囲を比べたい場合は、AI音声クローン比較で製品ごとの差を整理しています。

まとめ

AIで声を再現したい場合は、まず「自分の声をクローンしたいのか」「公式キャラクター音声で読み上げたいのか」「歌声を作りたいのか」を分けると、必要なアプリが絞れます。自分・許可済み音声を長文制作へ使うならBookFab、Web録音ならCoeFont、多言語ならPlayHT、キャラクター音声ならA.I.VOICE2やVOICEVOX、歌声ならVoiSonaが候補です。

推し風・アニメ風の声では、特定人物の無断クローンは避け、正規提供された音声を使うほうが安全です。無料枠だけでなく、保存方法と公開・商用の条件まで用途に合うかを見て選びましょう。